築20年以上の家を売却するためのポイント
築20年の住宅に対する一般的な考え方
日本の中古住宅の価値は「法定耐用年数」を基準として、評価される傾向にあります。法定耐用年数とは、「税法上で減価償却が可能な期間を表した年数」となります。簡単に言うと、「税務処理上で価値があると考えられる期間」のことです。
これを利用して、中古住宅の価値は法定耐用年数を基準に決められる傾向にあります。実際に住宅用建物の法定耐用年数は、その構造によって以下のように決められています。
・木骨モルタル造……20年
・木造……22年
・金属造(骨格材の肉厚3mm以下)……19年 ※一般的に軽量鉄骨造はこれに該当
・金属造(骨格材の肉厚3mm以上4mm以下)……27年
・金属造(骨格材の肉厚4mm以上)……34年
・れんが、ブロック造…38年
・鉄骨鉄筋コンクリート造……47年
これを見てわかるとおり、一般的には「築20年」を基準に、耐用年数の期限が迫ってくるというわけです。「木造住宅は築20年を過ぎると売れない」という考えは、この法定耐用年数が根拠だといっても過言ではありません。「法定耐用年数=建物の寿命」と考えられがちだからです。
しかし、法定耐用年数はもともと税務処理上の取り決めであるため、建物の寿命とは分けて考えるべきでしょう。築30年40年が経過していても、なんら支障なく住める物件も少なくありません。
例えば、一般社団法人住宅生産団体連合会が行った「2018年度 戸建注文住宅の顧客実態調査」によると、2018年度の「建て替えにおける従前住宅の築年数」の平均は39.4年となっています。2012年度では36.4年での建て替えが多かったことを考えると、建物の長寿命化の傾向が続いていると読み取ることができます。
この結果が、木骨モルタル造の20年や木造の22年といった法定耐用年数を大きく上回る数字であることは明らかです。当然この「従前住宅」の中には、木骨モルタル造や木造も含まれていると考えられるので、法定耐用年数と実際の建物の寿命には大きな乖離があると言えます。従って、築20年以上の住宅を売却する際には、法定耐用年数を根拠とした築年数の印象にとらわれず、その時点での物件の価値や魅力をきちんと把握することが大切になります。
築年数以外の「価値」を伝える
木造住宅に限らず、築20~30年が経過した築古物件はどうしても売れにくい傾向にあり、建物の価値は含めずほぼ土地のみの値段で取引きされる物件も珍しくありません。その原因として、いまだ買い手側では「築年数」が価値判断の主な基準になっていることが挙げられます。
しかし、見方を変えれば、築年数を上回るアピールポイントが確立できていれば、売却は十分に可能だとも言えます。例えば、メンテナンスが行き届いた物件は、老朽化の具合がかなり抑制されていて、築年数の半分くらいしか経過していないような状態を保っているケースが少なくありません。また、買い手のライフスタイルに合わせてアピールポイントを変えていけば、築年数による購入判断順位を下げることができます。具体的には、以下のようなポイントが考えられます。
・使いやすい間取り
・利便性や人気の高い立地
・日当たりの良さ
・角部屋
・構造や水回りに激しい劣化がないこと
・ルーフバルコニーなどの付帯設備
・修繕の状況や管理組合の体制が良好であること
・リフォームやリノベーションの成果
こういったポイントを整理していくと、築20年以上の住宅でも決して「売れない」わけではないし、むしろ付加価値を理解してもらえれば、少しでも高く売れる可能性が出てきます。つまり、うまく値を付けて「築古物件は安い」という買い手の意識を逆手にとって「割安感」を感じてもらうわけです。築20年以上の物件を売却するには、このように「築年数」以外の魅力を最大限伝えることが重要になるのです。
売却方法の選択も大切
築20年以上の物件を売却するには、売却方法も柔軟に考えていきたいところです。一般的に不動産を最も高く売却しやすいのは「仲介」です。しかし、仲介は買い手が現れるまでの期間が不透明で、仲介手数料がかかります。
別な方法としては、早く売りたいときに効果的な、不動産会社が提供している「即時買取」やこれら二つを合わせた「買取保証付き仲介」というものもあります。
築20年以上の物件をスムーズに売却するには、物件の魅力をうまくアピールして、売却方法と価格にあまり固執せず、柔軟に進めることをおすすめします。
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